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土地活用の計画を長期的にきちんと考えていますか?
土地活用は、住宅地、幹線道路沿い、市街地など、あなたの所有する場所により異なります。コインパーキングなど半年、約1〜5年だけ一時的に使用する短期のものもありますが、アパートやマンション、ロードサイド店舗、ビルや複合施設などは基本的には10年以上、30年前後、長い場合は50年以上事業を行います。子供や孫の代まで継続する可能性があります。
そうなると、土地活用に携わる業務は、オーナーにとって、日々の運営管理などの負担に、大きく関係してきます。これらを分かった上で、きちんと将来を考えた長期的な計画が大変重要なのです。
特に考えなければいけないことについて以下の4つのステップを説明します。
ステップ1 あなたの今の現状を知る
まず、土地活用において、あなたは何をどうしたいのか、将来どのような状態を望んでいるのかを、明確にする必要があります。
しかしその前に、あなたの今置かれている現状を理解し知ることが重要です。
では、どんな現状を知れば良いのでしょうか?
現状には、不動産の現状のほかに、自分自身の現状や家族の現状、市場の現状などがあります。ここでは、主にあなたの「不動産の現状を知る」ということについてお話しします。
例えばあなたが、両親より複数の不動産を相続しているとします。
そしてあなたは会社員で、不動産のことについてあまり興味もなく、知識も豊富ではないとします。しかし、相続した複数の不動産について、あなたに興味があろうがなかろうが、あなたには所有者としての権利が発生します。
権利が発生したからと言って、自分のものだから、何をやっても良いというわけではありません。相続したアパートやマンション・ビルが老朽化して危険な場合や、更地が管理されておらず草も生え放題になっていたり、ゴミが散乱していたり・・・あなたが意識しなくても、近隣住民や地域全体に迷惑をかけている場合があります。この場合あなたに責任があるのです。
賢明なあなたは、すでにお気づきですね。そうです。所有権と同時に義務が生じます。
所有権があるということは、それと同時に所有権には義務を伴うということですね。
当然、不動産にかかる税金も納めなければなりません。見て見ぬ振りはできません。
今までは両親が管理していたので、あなたは気付きませんでしたね。
たくさん今まで気づかなかったことが出てくるはずです。
これらのことをよく理解した上で、あなたの今置かれている現状を理解し、
知る必要があるのです。
所有権の社会性・公共性
20世紀に入ると所有権の絶対性による矛盾が表面化し、その是正が図られた。1919年のヴァイマル憲法(ワイマール憲法)153条3項が「所有権は義務を伴う」(Eigentum verpflichtet.)と定めたことは、この現れである。日本国憲法では、「公共の福祉」(日本国憲法29条2項等)により、所有権には一定の制限がかけられている。現在では、公衆衛生や消防などの警察的な制限だけでなく、都市計画や環境保全の分野など、行政法によって多くの制限が加えられている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
複数あるそれぞれの、不動産の現状を知る
さて、あなたは両親から引き継いだその複数の土地を今後どのようにしたいですか?
今まで考えもしなかった状況に、今あなたは置かれています。でも心配は入りません。
現状を明確にすれば、何も恐れることはありません。
一番恐れなければならないことは、自分の所有する不動産の現状がわからないまま放置し、何も行動を起こさないことです。
あなたの描く土地活用のイメージは、どのようなものですか?
しかし将来を思い描いたとしても、現実的なことを伴わないと、単に絵に書いた餅になってしまい、実現から遠ざかってしまいます。
そこで、あなたに次の5つの項目を、実行することをお勧めします。今まであなたが知らなかった、あなたの所有する不動産の、今の現状を知ることができます。
あなたの不動産の現状を知るための、5つの実行方法
- 実行1 関係の資料を不動産ごとに整理し、ファイルに閉じる。
・1つの不動産に1つのファイルを使うとわかりやすくて便利です。 - 実行2 複数の不動産の一覧表と、各不動産ごとのかんたんな概要書を作る
・各不動産ごとに、A4の紙1枚にまとめる。 - 実行3 最新の、各不動産の資料を集める
・法務局で最新の謄本や公図(地籍測量図など)をとる
安くてお得に、法務局オンラインでも取得できます。➡︎ 法務局オンライン - 実行4 各不動産の価値を知る
・チラシやインターネットで調べる - 実行5 実際に現地に行って、状況を確認してくる。
・必ず写真やビデオに撮りましょう。
土地の場合は、境界にポイントが入っているのか?
さらに隣接の所有者は誰で、どんな人なのか?などです。
このことは結構、プロでも見落としがちなことなのです。
実際に、契約を進めている途中、裏側の隣接地が反社会勢力の所有で、境界確定の印鑑がもらえず警察沙汰になったケースもあります。
境界が、あいまいな場合、あとで立合ってもらい同意が必要になります。
あなたの土地に建物があれば、一つずつ丁寧に確認しましょう。
アパートやマンションなどは空き部屋を一部屋づつです。
入居者がいる場合、可能であれば、入居者にも会っておくと良いでしょう。
建物については、老朽化している部分や、間取りなどです。
水道・排水や電気・ガスなどを確認しておくことも大切です。
また建物周辺の状況も確認しておくと土地活用の将来ビジョンに役立ちます。
1)境界杭・境界線の確認
2)不動産の外観や部屋の中
3)隣接の不動産所有者の確認
4)周辺の状況の確認
ステップ2 あなたの不動産の、将来ビジョンを描く
あなたの夢は何ですか?
あなたの悩みは何ですか?
あなたが今一番困っていることは何ですか?
現地であなたの目で不動産を確認できたら、実際に土地活用のビジョンを想い描いてください。今は思い描くだけで十分です。土地活用を進めていく上で、あとで必ず役立ちます。
何に適しているのだろうか?どのような土地活用事業に向いているのだろうか?と考えていると自然に知識も身につき、今まで気がつかなかった、役に立つ情報も入りやすくなります。
想像してみてください。できれば紙に描くことをお勧めします。うまく描く必要はありません。言葉でも図でもなんでも構いません。あくまでイメージですから。
実際に土地活用が行われているところは、幹線道路に面した土地、住宅地にある土地、駅近くの商業施設が密集する土地、駐車場にしている土地、農地や畑、露天の更地、廃業計画のあるビル、老朽化したアパートやマンション、ビルなど数え上げたらキリがありません。数多くの不動産の形態があります。あなたがいつも目にしているようなところですね。
そして、どんな方法であなたの不動産価値を、引き上げることができるのか?
自分や家族の夢を叶えるには、どんな活用方法が良いのか?
土地活用を行うことで、今あなたが抱えている不安や悩みは解消されるのか?
色々と想いを巡らしてください。
ステップ3 夢を実現させるため、土地活用の方法を知る
土地活用の方法には大きく2つに分かれます。すべて自分で行うか、事業会社に依頼するかです。すべて自分で行うということは、プロの事業者と同じレベルと思ってください。知識はもちろんのこと実績にもとづいた経験や交渉に、大きなエネルギーと時間が必要です。自分で土地活用を成功に導くには、当然のことと言えます。しかしあなたは、実際にこのようなことが、現実的ではないと分かっているはずです。
次に、土地活用の事業形態ですが、自分で行う方式も含め、次の7つがあります。
・分離発注建設方式(自己建設方式)
先ほどお話したように、土地活用について、自分ですべて行う方式です。
・事業受託方式
土地活用事業者にすべてお任せする方式です。
・等価交換方式
これも土地活用事業者に一括してお任せしますが、手法が違います。一度、所有の土地を開発業者に売ります。その後で売った金額分の建物を購入する方法です。土地の所有が複数になると所有者との交渉が長引く場合があります。また、交渉が困難な場合は、プロジェクトを前に進めることができないこともあります。
・建設協力金(差し入れ)方式 『リースバック方式』
この方法は、事業会社が建設金の全部もしくは一部を提供し、地主さんにレストランや物品販売店なの店舗を建ててもらい、建物完成時に、それを事業会社が借りて事業を行います。
・定期借地権方式(一般定期借地権・建物譲渡特約付借地権・事業用定期借地権)
地主さんが、土地を貸して土地代を受け取るシンプルな方法です。
・土地信託方式
信託銀行などに土地を提供し、そこで行う事業によって得た利益を、受け取る方法です。
・資産の組み替え
所有不動産を売却し、その現金を元手に、新たに資産を手に入れる方法です。
ステップ4 誰に相談し依頼するかを決める
あなたは、両親から引き継いだ、今まで見たことのないような書類に目を通し、各不動産ごとにファイルに整理し、最新の各不動産の公的資料も手に入れることができました。そしてあなたは、所有する各不動産の現地を訪れ、隣接地との境界杭・境界線や不動産の状態も知ることができました。また整理した資料と現地を見て、確認したことを照らし合わせながら、あなたの不動産の将来あるべき姿もイメージしました。
イメージはあくまでイメージですので、固定してしまう必要はありません。状況に応じていつでも変更することができます。そしてここまで来ると後は、あなたのイメージもしくはイメージに近いものを誰に実現してもらうか決めなければなりません。
もしあなたが、すべて自分で行う分離発注建設方式で決めているのなら別ですが、そうでなければあなたの時間と労力を無駄に使う必要はありません。
しかし、一番重要なことはあなたが誰に相談し依頼するかです。依頼の仕方によっては、リスクを抱えることもありますので、ここは本当に慎重に検討しなければなりません。
あなたが土地活用で成功するためには、あなたにとって一番相応しい方法を選ばなければならないのです。いずれにしても土地活用は長期にわたり継続する事業です。あなたのお子さんやお孫さんの代まで、またそれ以上になるかもしれません。あなたやあなたの家族に、できるだけストレスがかからない方法を選ぶことをお勧めします。
6つの相談方法について
① 誰にも相談せずすべて自分で行う方法
・メリット:すべて自分で、正確に行うことができればコストダウンにつながる
・デメリット:土地活用の知識と経験が必要。時間と労力がかかり、リスクも大きい
② 税理士や弁護士など、いわゆる士業の専門家に相談する方法
・メリット:知識が豊富でその専門分野については経験もあり安心
・デメリット:その道の専門家なので、土地活用事業の全体的なコーディネートはしない、取引先の業者や不動産会社、建設会社を紹介するにとどまる。取引業者と提携している場合があり、特定の業者に誘導されるケースがある。
③ 不動産業者に相談する方法
・メリット:賃貸アパートやマンションの賃貸相場、不動産価格や取引事例などの情報が豊富で、不動産に関し、賃貸や売買、仲介の知識もある
・デメリット:不動産賃貸・仲介・売買の専門家なので、取引先の土地活用業者や不動産会社、建設会社を紹介するにとどまり、仲介手数料が発生する場合がある。
④ 建設業者に相談する方法
・メリット:実績と経験豊富な信頼できる建設業者であれば、建設については、ある程度安心して、任せることができる。
・デメリット:建築がメインとなるため、できるだけ建築面積を増やそうとすることがあり、コストアップにつながることもある。土地を複数所有している場合、業者都合で建築しやすい場所に建てることを勧めることがある。
⑤ 設計事務所に相談する方法
・メリット:設計については、専門なので安心できる
・デメリット:取引先の建設業者の紹介に留り、利害関係のある特定の業者に誘導されるケースがある。
⑥ 誰かに紹介してもらう方法(知人や上司、取引先、銀行、農協、商工会議所など)
メリット:信頼度が高い
デメリット:不動産や土地活用の専門家ではないため、紹介のみにとどまる。
問題が生じた時、紹介された立場なので、強く言えないし責任も取ってもらえない。
上記6つの相談方法にマッチしない方は
こちら➡︎サイト利用の10のメリット