土地活用の事業や契約形態について、どのような方法があるのか?
あなたは、ご存知でしょうか?
それぞれどのようなメリットやデメリットがあるのか、予め知っておくことがとても大切です。

基本的にはどの方式であっても相続税の対策になります。

土地活用は、地主自ら行うか、土地活用事業者に依頼するかの大きく2つに分かれます。

土地活用事業者に依頼する方式として、分離発注建設方式(自己建設方式)を除いて、一般的に行われているものは次の7つがあります。

分離発注建設方式

この方式は、自己建設方式とも言われ土地の所有者自身が主体となり計画し事業を行います。自分の土地に、土地活用の計画を立て、マンションやアパート、ビル、ロードサイド店舗、複合ビルを建設したり、店舗や駐車場などの工事をすることです。

しかし自分の希望プランを設計事務所に依頼し建設業者に建設工事の発注を行い、建物に関する管理や入居者管理も行わなければなりません。また建設費や工事費など金融機関との借り入れ交渉や自己資金の調達など全て自分で行うことになるので大きな労力を負うことになります。

直接、各関係セクションに分離発注するためコストを削減することは可能です。

さらに将来を見据えた需要調査や計画など知識や経験が必要となり、計画を誤ると後で取り返しのつかない事態になる可能性もあります。基本的にディペロッパーのようなプロはこの方式で行いますが、プロでさえ売却する場合に予測を見誤る事もあります。的確に、不動産の売却価格を推測することは困難です。 不動産関連の上場会社が倒産するのもこのようなことが一因になっています。 

初めて土地活用を行う方にとっては、かなりハードルが高くなる方式と言えます。

メリット
・分離発注で直接業者へ依頼するため中間マージンが省けるのでコストを抑えることができる。

デメリット
・関連業社の手配やその都度の打ち合わせ、管理など全て自己責任で行うため時間と労力が必要となる予測を見誤ると取り返しのつかない事もある。

事業受託方式

事業受託方式とは、土地所有者より依頼を受けた会社が、まず需要調査や敷地調査などを行います。
そして、ニーズに基づき事業収支シュミレーションが出来上がります。次に建物などの基本計画や実施計画、建築確認・開発の許認可の申請などを行い、許認可を受けます。
その後、建物の工事に着手します。建物が完成すれば地主に引き渡され、テナントの募集が始まります。
このように完成後の入居者管理・建物管理の運営などの業務にいたるまで、総合的に土地活用事業者が受託する方法です。またアパートやマンション、ビル複合施設などの入居者募集も行います。
事業受託方式はいいかえれば、土地活用事業者が一括して、事業の責任を負う方法とも言えます。また場合によっては、長期にわたり一括借り上げなども行う事業者もあります。土地所有者にとって、初めて土地活用を行う場合、煩わしさが少なく、比較的安心して依頼できる方法です。

メリット
・地主が業務委託で一任すれば、基本的に土地活用事業者が全て行うことになるので手間もはぶけ専門的な知識も必要としない
・窓口が一つなので、多くの専門家に相談する必要はない

デメリット
・一括で土地活用事業をすべて行なってもらうので、信頼できる業者であれば安心して任せることができるが、自己建設方式ではないため、分離発注方式のように価格を低く抑えることは難しい。

等価交換方式

地主さんが土地を売る方法として、等価交換方式という方法があります。これは、地主さんが、不動産開発事業者に土地を売った資金を、建物と交換します。マンションを建てた後に、そのマンションの部屋で、対価を支払ってもらう方法です。

地主は、土地の一部または全部を譲渡し、不動産開発事業者が建築費用を出し、出資割合に応じて土地と建物をそれぞれ按分することにより地主はマンションの部屋に住むことができたり、家賃収入を得ることも可能になります。建築費用を土地代で支払うことになるので、建設費用の借り入れなどの調達も不要となり、完成したマンションの部屋を取得できるのは大きなメリットになります。

また、土地を不動産開発事業者に売ることになるので、売却益が発生する場合があります。しかしこの時に発生する課税について、繰り延べの特例を受けることができます。ただし、課税の免除ではないので、事前に専門家に相談するなど注意が必要です。さらにマンション開発事業は、地主の承諾を得てから建設を行い、エンドユーザーに販売が完了するまでに最短でも2年以上はかかります。この間に経済事情が変化し、計画案が変更になり、資産が目減りする可能性もあります。建設資金を銀行などから調達せずに、マンションの部屋が手に入りますが、リスクが全くないわけではありません。契約書などしっかり目を通して、気になることは、明確にしておく必要があります。

メリット
・基本的に土地と建物の交換なので、事業のために借金するなどお金を用立てる必要がない・事業は、不動産開発業社が主導で行うため、地主としての手間がはぶける・税金は繰り延べになるので、不動産を売った時のような税金はすぐに発生しない

デメリット
・地主の価格と不動産開発業社の価格の調整に手間がかかり、双方の合意にいたるまで時間がかかる。
・事業完了までの期間が長いので、その間経済的な変動があった場合価格に影響する

建設協力金(差し入れ)方式とは 

この方式は、郊外のロードサイドや幹線道路に見られる、飲食レストラン店や物品販売店といった店舗などを運営をする場合に使われる方式です。

地主が自らの自己資金や銀行などからお金を借りて建築資金を調達する方式と、入居が決まったテナントに建設資金を出してもらう建設協力金方式があります。建設協力金差し入れ方式はリースバック方式とも言われます。テナントから無利息で預かった資金「建設協力金」でテナントの希望する建物を建築し、建物が完成した後に、テナントと賃貸借契約をして、賃貸料より毎月差し引いて分割返済します。つまり賃料と相殺することにより地主は、テナントから借りた建設協力金を返済することができます。

賃貸借契約を締結後は、貸与された「建設協力金」は、約束の契約期間ですべて返済されるよう、月々のテナント家賃を差し引いた額で均等にテナントに支払われます。

メリット
・ 入居テナントが計画段階で決まっている・ 利回りが住居系の建物より高い・ アパートやマンションに不向きな土地でも需要がある・ テナントは1社になるので管理が簡単・ 保証金が建築費用になるため銀行借り入れをしなくて良い・ 相続税の節税効果 がある・ 保証金の返済義務不要の特約で、中途解約に対応できる

デメリット
・将来、経済事情や土地周辺の環境変化などで事業者の売り上げが落ちると約束の賃貸料が変わる場合がある・中途解約の場合などの条件交渉が必要

定期借地権方式

土地を貸して、土地代をもらう方法で、地主自らが資金を使いたくない場合に、期間を限定して土地だけを貸す方式です。

定期借地権方式には、

  • 一般定期借地権
  • 建物譲渡特約付借地権
  • 事業用定期借地権

の3種地がありそれぞれ違う特徴があります。

一般定期借地権

契約期間は50年以上と長く、更新がない方式です。
長期間にわたって使用する予定のない土地の活用方法として利用されます。

メリット
・契約終了後は、更地返還となり建物は解体され、元の更地の状態になる
・長期間、安定した賃料収入が入る

デメリット
・50年以上の契約となり長期の間、別の用途で使用できない

建物譲渡特約付借地権

土地を貸して、土地代をもらう方法で、地主自らが資金を使いたくない場合に、期間を限定して土地だけを貸す方式で契約期間は30年以上で、契約更新がない方式です。貸出中に建築された建物を契約終了後に買いとる方法です。建物の買取に関しては、メリット、デメリットがあり、建築物がマンションだった場合は買取後も家賃収入を得ることができますが、空室の目立つマンションや老朽化が進んでいる建物であれば、デメリットが大きくなってしまいます。

メリット
・建物に関しては、建築物がマンションやアパートの場合は、建物を買い取った後も家賃収入を得る事ができる。

デメリット
・建物に空室の目立つマンションやアパート、または老朽化が進んでいる建物であれば、大規模な修繕が必要となり、資金負担が大きくなる。

事業用定期借地権

10年以上50年未満の契約期間で、契約更新がない、但し、建築できる建物は事業用に限定される。契約期間が短いので、基本的に駅や主要施設などにつながる幹線道路に面した土地や、商業地域などの土地に活用される方法になります。契約終了後の建物は、買い取る義務はありません。

メリット
・建物を建てる費用は不要・建物は借地人の所有となり建物の管理費や修繕費、公租公課など不要
・契約満了時は、建物は取り壊され土地は更地でもどる
・土地を貸すだけなので収入が安定する
・契約終了後は、建物の買取り義務が無い

デメリット
・建築できる建物は、事業用のみ
・建物は借地人の所有なので、借地人が倒産すると対応しづらい
・契約が中長期のため保証金の返還義務が相続人に移る場合がある

土地信託方式

信託銀行などに土地を預け、得た利益を受け取る方式です

  • 地主さんは土地を信託銀行などに預ける
  • 土地を預けるだけで、土地の活用については信託銀行などが考え実行する
  • 事業で収入が発生すれば、地主さんは、利益の一部を受け取れる

土地の活用方法など、企画案や事業収支の提案から契約まですべて委託できる方法です。建設工事費用を負担することがなく、信託契約終了時に建築物も自己名義にできます。仮に、信託銀行がマンションを建設したとすると、建築費用や管理費用は信託銀行が負担してくれます。マンション経営によって得られた利益は、信託銀行の利益や諸費用が引かれます。ただし、建設費用の返済にも充てられます。ということは、建築費用を自己で借り入れはしなくていいのですが、実際には利益から返済しているということになります。

信託銀行が必ず収益を上げることができない場合は、利益を受け取ることはできず、追加投資を迫られることもあります。
また、信託銀行の利益や建設費用等の返済に充てられた金額の残りが自己利益となるので、収益性は低くなります。

メリット
通常、初期に必要な建設資金などを用意する必要がない。契約終了後は土地も建築物も自分のものになる。契約中も利益が発生すれば利益の一部を受け取ることができる

デメリット
・収益が低く、信託銀行などに事業収益がなければ、利益の一部を受取できない、場合によっては、追加で投資の可能性がある・この方法で土地活用できる土地は、地域の一等地などで、条件が厳しいので限定される

単純売却方式

・売却の場合

土地の買い手を見つけて、買い手に売る方法。一般的には、不動産仲介会社に売却の依頼を行う。
契約形態には、「専属専任契約」「専属契約」「一般媒介契約」の3つの形態がある。

メリット
・現金が手に入る
・不動産にまつわるしがらみから解放される

デメリット
・土地がなくなる(地主でなくなる)
・売却時に仲介手数料が発生する

資産の組替え方式

資産の組替え方式

所有の不動産を売却し、いったん現金に替え、その現金で他の不動産を購入する。
最近は国内のみならず海外に組み替える地主も増えている。

メリット
・収益の低い土地や不動産が、優良な資産に替わる
・相続対策がたてやすい

デメリット
すべての所有する資産を一旦棚卸をし、それぞれの資産について一つずつ、比較検討しながら、方向性を決めていくためプロジェクトが終了するまで長期になる場合が多い

以上が、土地所有者が行う土地活用における、基本的な方法8つになります。
簡単な概要だけなので、土地活用が初めての方にとっては、わかりにくい部分もあると思います。
しかし、上記の7つさえ抑えておけば、あなたの土地活用はどれかに当てはまるはずです。
あなたにとって、どの方法が最も良いのか参考にしていただければと思います。

また今注目されているのが、上記記載の「資産の組み替え方式」です。
通常は、日本国内で行われますが、数年前から海外の不動産に組み替える不動産オーナーが
多数見受けられます。やはり日本の将来を考えるとこれも自然の流れだと思います。

今後は日本国内に限らず、「資産を守り増やす」ためには
海外も選択肢の1つとして検討する事も不可欠になってくると思います。
いずれにしても、どの方法があなたにマッチしているのかは、まず今のあなたの現状を明確にし、
把握する事が大切ですね。
あなたの現状を明確にする方法は、「計画前の大切な4つのステップ」に記載しています。

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また、すでに土地活用をお考えであれば、下記のサイト利用方法をご覧ください。